前回の続きです。

個人再生で、まずすること
多重債務の方(以下、「依頼者」)が相談に来られたら、債務整理か破産か個人再生のどれが本人にとって良いのか、負債額・資産状況諸々を考えたうえで、方針を決定します。
まず、弁護士受任通知の発送
債務整理でも破産でも個人再生でもそうですが、まず最初に行うのが、「弁護士受任通知」の発送。
内容としては、
という内容の通知を債権者(お金を貸している側)に送ります。
この通知を受け取った業者は、その後、本人へ督促をすることはありません。
ここで、住宅ローンがある金融機関には、受任通知に「個人再生申立の際に、裁判所から住宅特別条項の許可を取りますので、住宅ローンについてはこれまで通りにお支払いします」と書き添えておきます。
もちろん、依頼者には「今後は借りるのも、返すのもダメですよ。住宅ローンはいつも通り払ってください」と伝えます。
大体の債権者から回答が返ってくるのに一番早いところで3日くらい、遅いところで1か月くらい掛かります。
これを債権調査と言います。
そして、この債権者からの回答を基に、債権者一覧表という「どこから、いつ、いくら借りて、サン高がいくらあるか」というのが一目でわかるリストを作り上げます。
債権者って友人・知人は入らない?まだ債務を代わりに弁済していない保証人は入らない?
依頼者の方に、債権者を教えてくださいと聞くと、

・個人から借りたものは入れなくれも良いの?
借りるのに、保証人になってもらった人がいるが、その人にも連絡が行くの?
とか、聞かれますが、友人だろうと知人だろうと、
絶対、債権者からは外せませんし、保証人にも遅かれ早かれ知られることになります。
お金を貸してくれた人・あるいは、保証人になってくれた人=どういった関係だろうと(家族だろうが、親戚だろうが、職場の人だろうが)債権者です。

えっ?でもまだ保証人は私の代わりに返済とかはしていませんよ。
と思われるかもしれませんが、たとえその時点で保証人が代わりに弁済をしていなかったとしても、債権者に弁護士からの通知が行った時点で、債権者は「じゃあ、保証人から回収しようか」となるのです。
保証人と連帯保証人の違い
日本における保証人とは殆どのケースでは連帯保証人なので、保証人が使える3つの権利
という主張が使えないのです。まさに、一蓮托生。
主債務者がちゃんと払っている限りは、債権者が主債務者を通り越して連帯保証人に請求することは無いと思いますが、主債務者が支払いをストップしたら、連帯保証人は問答無用で債権者から残額を請求されることになります。
ということは、結局、連帯保証人は主債務者に代わって債務の弁済をしなければならなくなるのです。
連帯保証人になったがため、破産してしまうというケースも実際にあります。
そして、主債務者に代わって、債務を弁済した保証人には、「私が代わりに弁済したんだから、(主債務者に)ちゃんと返してよね!」と言える権利(求償権)が発生します。
なので、将来的には求償権者になる保証人を「将来の求償権者」として、債権者のリストに挙げるのです。
債権調査の間に依頼者にしてもらうこと
さて、債権調査を進めながら、依頼者にお願いするのが、
- 給与明細(世帯全員の分)2か月分
- 源泉徴収票あるいは、役所で発行してもらえる所得証明書(世帯で収入のある人の分全て)最新2年分
- 本人名義の通帳(たとえ残高が0円でも開設したままのものは全て)
- 世帯で掛けている保険の証券(生命保険、共済保険、火災保険、簡易保険、自動車保険、県民共済、コープ共済など)
- 保険の解約返戻金証明書(保険会社にお願いすれば発行してもらえます。保険証券や約款などに解約返戻金無しと記載があれば、必要はありません)
- コープで買い物、あるいはコープ共済に入っている人は出資金を出しているはずなので、年に1度来る出資金のお知らせ等、出資金額が分かるもの
- 県民共済など割戻金の一部を出資金として積み立てるケースがあるので、出資金の証明書
- 本人名義の車の車検証
- 所有不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書(最近の)
- 退職金のある会社なら、現在の退職金額証明書(証明書を貰えない、あるいは貰い辛いということであれば退職金規定)
- 社内積立や持株会で株、あるいは有価証券があれば、その資料
の収集と、
- 申立書・財産目録(資産の一覧みたいなもの)の記入
- 家計収支表(月単位の家計簿)
- 今後の予想家計収支表(将来的に月にどのくらいの収支になるのか。ここである程度家計に余剰が出ていないと、個人再生の弁済が本当にできるかどうか、裁判所の判断材料になるので、結構重要。)
- 光熱費・電話代がコンビニ払いなら、領収証の確保
- おおよその月額弁済額の積立
をしてもらいます。
本当のところ、申立書や財産目録は、提出してもらった資料からこちらが書く(PCで清書)ことはできますし、申立書を書いてきてとお願いしても、「何だか良く分からない」とぼほ白紙で持ってこられる方の方が多いです。
とりあえず、分かる部分だけでも書いてもらって、後は、多重債務に至るまでの詳しい事情を教えて貰えば、何とかなります。
でも、多くの人が難しく感じるのが家計収支表の記入です。
こればっかりは、私の方で何とか書くということは出来ません(本当は、レシートを確保してもらったら、書けなくはないのですが、実際に家計の収支を自身で、あるいは家族でちゃんと把握してもらって、家計にどういった問題があるのか気が付いてほしいという想いがあるので、どうしても書けないという方以外は、自分で書いてもらうようにお願いしています。もちろん、こちらでも内容のチェックはしていますが)。
私は、記入にあたっては、光熱費・電話代・保険料以外はざっくりとした金額で良いですと伝えています。
レシートを取っておくだけでも、あとから集計はできるので、レシートの確保もお願いしています。
もう一つ確認していること
依頼者に財産状況を聞くときに、
- 今までにキャッシングをしていて、今回の債権者に入っていないが、完済しているところは無いか?
というところも、確認しています。
これは何故かというと、CMなどでおなじみの「過払い金」が発生しているかも知れないからです。
実際に取引明細を取り寄せてみたら、過払い金が出たというケースもあります。
どのくらいで個人再生の申し立てができるのか?
こればっかりは、「本人の頑張り次第」としか言いようがありません。
相談に来られて、必要書類の記入、資料を早々と集めて、積み立てもしっかりしてもらい、家計収支もしっかり書いてもらって、予想家計収支表もしっかり書いてと、スピーディーに動いてもらったら、3~4か月くらいで、できると思います。
でも現実は・・・
弁護士の受任通知が届いたら、依頼者のところには業者からの督促は行きません。
こうなると、破産だろうが個人再生だろうが、ちょっと気が緩んでしまうのか、なかなか書類を集めてくれない、書いてもらえないということが多々あります。
特に、個人再生の場合、最初に債権調査をしても、申立後に再度、債権届出期間があり、最初の債権調査から債務額が増えてしまうのです。
個人再生における債権届出期間とは?
簡単に言うと、個人再生の申立をして、裁判所から訂正や資料などの追加指示、詳細な説明を求められて、ようやく「個人再生開始決定」という決定が出されます。
そこで、債権者の方には、裁判所から
「〇〇さんについて、〇月〇日に個人再生の開始決定が出ました。債権者の方は、□月□日までに、開始決定日の前日までの遅延損害金を含めた債権額を提出してくださいね」と通知が行くのです。
とくに、そこまでに遅延損害金を求めないというスタンスの業者なら届出をして来ないのですが、遅延損害金まで届出する業者は結構あります。
だから、申立まで準備が掛かってしまうと、最初に調査した債権額に、遅延損害金分が増えてしまいます。
特に、資産が少なくて、債務額が弁済額の基準になってしまう人にとっては、当初の予定よりも弁済額が増えることになるのです。
だから、この点も踏まえて、なかなか準備をしてくれない依頼者の人には「なるべく早く申し立てしないと、遅延損害金が多くついて、弁済額が上がりますよ」と注意するのですが、これがなかなか。。。
ちょっと愚痴
債権者から、「いつ頃申し立て出来そうですか?」と問い合わせも来ますし、時間が掛かりすぎると、
「本人さん、やる気あるんですかね?」とチクリ。
本音を言うと、「ええ、無いでしょうね。」と答えたくもなりますが、そこは我慢して、「申し訳ありません。本人にもちゃんと準備するように伝えますので。」と平謝りです。
とりあえず、今日はここまで。



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